千葉県参議院議員「小西ひろゆき」公式ウェブサイト

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10月16日外交防衛委員会

本日、参議院外交防衛委員会で外務・防衛大臣相手に、解釈改憲問題を追及しました。
 
閣僚や内閣法制局長官の答弁拒否を跳ね返し、以下のことを明らかにしました。
 

  1. 集団的自衛権の行使を容認する新三要件の「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される」という文言の意味は、歴代政府の憲法9条解釈(7.1閣議決定で云うところの「基本的な論理」)のおける意味であった「国民の生命や身体が危険にさらされる」と同義であること。 (内閣法制局長官答弁)
  2.  

  3. 従って、米国が他国と戦争を起こしそれに日本が集団的自衛権の行使を行わないことによって日米同盟の信頼が揺らぐようなことがあってもそれだけでは直ちに新三要件を満たさず、「日米同盟の揺らぎという事態の下で、ある事実関係が発生しその中で日本国民の生命が失われる」という場合が起きない限り新三要件は満たされず、集団的自治権の行使はできないこと。また、このことは、ホルムズ海峡の事例でも同様であり、石油ショックのような事態だけでは新三要件は満たさず、「石油ショックのような事態の下で、ある事実関係が発生しその中で日本国民の生命が失われる」という場合が起きない限り新三要件は満たされず、集団的自衛権の行使はできないこと。(内閣法制局長官、外務大臣答弁)
  4.  

  5. 安倍総理の邦人避難事例(母親と赤ちゃん)の事例は、実は、新三要件において集団的自衛権を行使できる事例ではないこと。なぜなら、新三要件の「国民の生命等」とは、こうした個別の国民ではなく、日本国民全体を意味することによる。(内閣法制局長官)
  6.  

  7. 日米安保条約第3条において「日本は米国のために集団的自衛権を行使しなくて良い」と規定されており、我が国が米国のために集団的自衛権を行使しなくとも、日米同盟が揺らぐことはあり得ないこと。また、7.1閣議決定は、「憲法9条において集団的自衛権の行使は許されない」という国会としての憲法解釈に基づき国会承認決議(憲法73条)を1960年に行った、条約を閣議決定で上書きするものであるが、そもそも、条約は法律にも優先する存在であり、これら法令に違反することはできない閣議決定たる7.1閣議決定は無効であること。
  8.  
    ※(1)、(2)、(3)ともに初めての答弁であり、7.1閣議決定の曖昧さを封じるものです。
    しかし、そうであっても、新三要件が相変わらず「歯止め無き無限定のもの」であることを立証する、より本質的な以下の事項についても、明らかにしています。
     

  9. なぜ、7.1閣議決定により集団的自衛権の行使が可能になったのか、その根本の「からくり」は、①集団的自衛権の行使の必要不可欠性の根拠である「立法事実」がそもそも存在しないこと(=事実のでっち上げ)、②安倍内閣は憲法9条解釈の「基本的な論理」を維持したとしているが、実は一番大切な憲法の平和主義等の基本論理を切り捨てていること(=論理の切り捨て)

 

    ①立法事実
     集団的自衛権の行使が違憲とされていた根本の理由は、「我が国が武力攻撃を受けていない状況で、生命が失われる日本国民は存在し得ず、よって、そうした存在もしない日本国民の命を救うための余分な武力行使は戦争放棄等を定めた憲法9条においては許容する余地はない(憲法改正しか手段がない)」というものです。
     しかし、安倍総理は、60年以上の歴史で初めて、この歴代内閣が存在しないと言っていた日本国民が「存在する」と言い始めたのです。
    では、その日本国民とは一体どういう日本国民なのか。上記の(1),(2),(3)のような事態が起きて、その下で死んでしまう日本国民とは一体どういう国民なのか。
     集団的自衛権の定義が「我が国には武力攻撃が発生していない状態」である以上、生命を失う日本国民は常識として存在し得ない(武力攻撃は発生した瞬間に個別的自衛権の世界となる)。
    この「あり得ない」ものを「あり得る」と事実をでっちあげたことが、解釈改憲の最大の本質であり、問題の焦点です。
     ある著名な憲法学者は「安倍総理は雪男を発見した」と言っています。
    (ぜひ、「立法事実」を今年の流行語大賞にしましょう!)

 

    ②論理のすり替え(平和主義等の基本論理の切り捨て)
     憲法前文の「全世界の国民に確認している平和的生存権」の趣旨からは、日本に攻撃をしてもいない国(例えばイラン)を、石油確保や日米同盟のために攻撃することは、全世界の国民(イラン国民)にも当然保障されている平和的生存権の趣旨と真っ向から違反する。つまり、全世界の国民に平和的生存権を保障している以上、正当防衛行為である日本への直接侵略以外に武力行使(個別的自衛権の行使)を行える余地はない。 
     また、同じく憲法前文の「政府の行為によって戦争の惨禍が起こることがないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言する」という文言からは、国民主権の行使である憲法改正の国民投票無くして新しい集団的自衛権の行使を容認することはできない。また、続く文言で、こうした「人類普遍の原理たる国民主権原理に違反する、一切の憲法はこれを排除する」とされており、7.1閣議決定による新しい憲法9条は無効となる。

 
※以上、実は、立法事実の不存在(事実のでっち上げ)と平和主義等の基本論理の切り捨て(論理のすり替え)が、解釈改憲が可能となった根本の「からくり」であり、逆に、立法事実も分からないということはいかなる場合に集団的自衛権の行使が許容されるのか(発動要件)が不明ということであり、かつ、平和的生存権の制限が掛からない武力行使は何が必要最小限かブレーキが掛からず、結果的に7.1閣議決定は歯止め無き・無限定のものとなります。
 
※なお、「明白な危険」は立法事実の不存在と基本論理の切り捨てにより集団的自衛権を可能にした上で更に、その運用を拡張するためのものです(悪い「おまけ」)。

  

【配布資料等】

パネル資料

配布資料(資料1~16)

7.1閣議決定分析ペーパー(抜粋)

※本日の質疑映像は参議院インターネット審議中継よりご確認頂けます。
小西の質疑は2:33:05頃から始まります。

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