放送法改正-NHK経営委員・会長の人事の適正の確保-
(会議風景:小西事務所にて、法制局、調査室、国会図書館の方々と議論を重ねました)
今国会(第185回臨時国会)のNHK経営委員の国会同意人事について、候補者として示された人物のうち、報道等により「安倍カラ―」であるとの問題が指摘されました。
NHKとは公共放送であり、NHK経営委員会委員は「公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者」(放送法31条)から選ばれるとされているのであり、時の総理の恣意的な任命によって左右されるものであってはなりません。
私は、総務省時代にNHK経営委員人事の業務を行っていました。今回のような恣意的な人事は、第一次安倍内閣を除いて例が無いものと承知しています。
同様にNHK会長人事についても政治介入が危惧されているところです。
そこで、NHKの言論報道機関としての自律を確保するために、①NHKのモデルである英国の公共放送BBCの経営委員任命の仕組みを参考にNHK経営委員会委員の候補者の選定を適正化する仕組みと、②NHK会長の任命を適正化する仕組みを立案しました。
さらに、安倍総理によって新たに任命されたNHK経営委員会委員の言動の中に、放送法に定める放送の「不偏不党」(第1条)、放送番組の編集についての「政治的に公平であること」並びに「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」(第4条)といった基本原則等の趣旨に照らして、極めて異例かつ国民視聴者からの公共放送への信頼の確保に大きな懸念を抱かざるを得ないものが報道等されています。
これまでは、明確なルールが無くとも余りに当然のこととして、こうした異例の言動が繰り広げられることは第一次安倍内閣で任命された委員の一部を除いてはありませんでした。
こうした、NHK経営委員の不偏不党等を欠く行為について、経営委員個人の政治活動等の事由も尊重しながら、しかし、国民視聴者から公共放送NHKの信頼と信用を確保するために、経営委員が自律的にそうした行為を規律するために必要な措置についても放送法改正案を策定致しました。
(参考)
経営委員は、個別の番組の編集に干渉することは禁止されているものの(放送法第32条)、そもそもどのような番組編集をするかについてのNHK番組基準そのものが経営委員会の議決事項となっており(放送法第29条)、換言すれば、経営委員は経営委員会の一員としてNHKの放送の内容に権限行使できる立場にあります。